プロジェクトD大作戦(第五話)

  • はじめに
    • 前のブロク(License Free Radio Blog)で書いたモノです。こちらへ転記しています。
    • 下記の内容はその時時点での情報なので、現在と内容や状況が合わないことがあります。昔はこんな感じだったんだ、っていう感じでご覧頂ければ幸いです。

プロジェクトD大作戦(第五話) / 2006-03-29 (水)

2006年3月14日(火)から1週間ほど稼動していた達磨山(伊豆市)臨時特小レピータを介して1エリアと2エリアとの交信を試みた時のメモです。

* 達磨山からの可視範囲(三浦半島編)
* プロジェクトD大作戦(第一話) 〜前書き〜
* プロジェクトD大作戦(第二話) 〜江ノ島編(1)〜
* プロジェクトD大作戦(第三話) 〜江ノ島編(2)〜
* プロジェクトD大作戦(第四話) 〜朝熊ヶ岳編(1)〜
* プロジェクトD大作戦(第五話) 〜朝熊ヶ岳編(2)〜
* プロジェクトD大作戦(まとめ)
(※準備中)

2006年3月19日(日)その2
プロジェクトD大作戦(第五話) 〜朝熊ヶ岳編(2)〜
朝熊ヶ岳隠密移動作戦〜ANTしなる強風の山頂秘話〜」(c) むさしのAM634

朝熊ヶ岳へは10:00ちょっと前に到着。レンタカー借りて、コンビニでゆっくり御飯を買いだししてこの時間に到着。かなりお手軽に登っていくことができました。

現地に着くまで心配だったのは現地のロケーションです。

カシミール3Dでの計算は(論理上の)見通し距離だったのに、行ってみたら木に囲まれていてひらけていない場所だった、なんてことは良くある話。アマチュア無線の運用であればあまり気にしませんが、特小の場合はポール伸ばして外部アンテナというわけにもいかず、出力も10mWですから、「実際にその方向がひらけていないとかなり致命的」な問題になります。

早速、車を降りて1エリア方向への見通しを確認。カシミール3Dによると朝熊ヶ岳から達磨山は約70度の方向です。方位磁石が無かったので太陽の位置と見比べながら調べると、北側に電波塔や木が立っていますが、少なくとも北北東〜南東は伊勢湾が開けており完全な見通しです。

ドキドキしながら特小のスイッチをオン。昨日と同じ間違いをしないようにチャンネルを確認してカーチャンク.... 

そうすると、江ノ島で聞いたあのレピータの反応音が! DJ-R20Dを二台使い、一台でレピータへのアクセス、もう一台でレピータのダウンリンクをワッチすると、レピータからの音声に自分の音声がちゃんと聴こえてきます。

時計を見るとちょうど10:00を過ぎた時間。掲示板で予告した通り、毎時0分と30分に呼びかけをすることにしていたので、興奮で上ずった声で達磨山レピータで呼びかけますが残念ながら応答なし。それよりも、風が強すぎて立っていることができません。

車の中で待機できないかと、DJ-R20Dのベルトクリップで車のウィンドウにひっかけ、やや窓を開け気味にし、達磨山レピータがアクセスできるよう車の位置を微調整。車の中からなんとか達磨山レピータへ安定してアクセスできる位置を決めて停車します。風は助手席方向から運転席方向へ吹く猛烈な北風。運転席の窓はやや開けた状態のままになりますが、外でずっと待機しているよりはマシになりました。

ちょっと一息ついたところで、市民ラジオのほうもセッティング。ICB-87Rとともに持って来ていたRJ-410をDJ-R20Dと同様に、ベルトクリックを窓に引っ掛けて設置します。受信感度はかなり低下してしまいますがとりあえず妥協。チャンネルをくるくると回してみると.... 誰もいない....(汗)。移動地の選択を誤ったか?という思いが一瞬頭をよぎります。しかしながら、この場所であれば北方向の名古屋は無理でも、愛知県東部は見通しに入っているはずです。最悪、伊勢湾ロールコールの時間帯になれば誰かが聴こえてくるだろうと、腹を決めてのんびりします。

しばらくワッチしていると、市民ラジオでとよかわ2008さん(五井山移動)が入感。続いてイワテB73/2さん(猿投山移動)の声も入感。誰とも交信ができなくても、伊勢湾ロールコールにはチェックインできそうだということがわかり一安心。

時計に目をやると毎時30分の10:30が近づいています。再び、車の窓にひっかけたDJ-R20Dから達磨山レピータへアクセス。すると、昨日交信をして頂いたシズオカCA18さん(沼津市)から応答をしていただきました。これで、朝熊ヶ岳から達磨山レピータへのアクセスは確認できました。あとは、1エリアから運用予定のカナガワOT207さんとの交信を残すのみ。

シズオカCA18さんとしばらく交信をした後、ICB-87Rを手に取り、車の外に出て市民ラジオでCQを出していたイワテB73/2さんへ呼びかけます。ここで初めてびっくり移動が達成?です。続いて、とよかわ2008さんがブレークイン。チャンネルを変えてRSレポート交換をします。景色の良い伊勢湾を望みながらの交信はこれまた格別.... なはずですが、強風でICB-87Rを両手でしっかり持っていないとアンテナが風にあおられて手から落ちてしまいそうです。

朝熊ヶ岳からのアクセスが成功したので、1エリア向けに達磨山レピータのアクセスが成功した旨をCITIZENet掲示板へ書き込もうとしますが、残念ながら携帯電話(au)は圏外。イワテB73/2さんから朝熊山展望台からであれば携帯電話は使えるかもということを受け、一旦、朝熊ヶ岳を離れ、朝熊山展望台へ向かいます。

先程の「八大龍王社」という入口の看板まで戻り、伊勢志摩スカイライン朝熊山展望台方向へ。車での移動ならば、あっという間に展望台に到着します。朝熊山展望台は広い駐車スペースがあり、売店や展望デッキ、周りの風景を見ながらの足湯を楽しめる施設もあります。

朝熊ヶ岳はひらけている方向が伊勢湾方向に限られてしまいますが、朝熊山展望台はほぼ360度の景色が望める場所になっていました。今回のような達磨山レピータを狙った運用であれば朝熊ヶ岳のほうが良いかもしれませんが、広く交信エリアをカバーをするならやや標高は下がりますが朝熊山展望台のほうが有利? ただ、朝熊山展望台は人がたくさん出入りするので、人目気にせず運用するなら朝熊ヶ岳のほうがいいかもしれません。

※余談:
イワテB73/2さんが2月に朝熊山より達磨山レピータアクセス実験を行ったときのレポートの中に朝熊山展望台にある看板?の写真がありますね。こちらは標高500m。朝熊ヶ岳は555mです。地元の人々は朝熊山と呼んでいるそうですが、この山は一つの山に山のてっぺんが二つある山のように見えます。実際にはそれぞれの「朝熊山」と「朝熊ヶ岳」に別れていて、地元の人はひとまとめにして朝熊山と呼んでいるのかな....?(と勝手に想像) 朝熊山朝熊ヶ岳は、1エリアでいうところの「堂平山と(堂平山の)剣が峰」と似たような関係?(スミマセン、分かる人にしか分からないカモ)

携帯電話を見ると圏内に入っています。早速、朝熊ヶ岳から運用中で、達磨山レピータへアクセスができたという第一報をCITIZENet掲示板へ書き込みます。続いて、現在の1エリアの天候が気になり、みなみたまFN533さんへ電話。天候は悪くないようでまた一安心。それならきっと、カナガワOT207 さんも午後には達磨山レピータへのアクセスを試みてくれるだろうと期待して早々に朝熊山展望台を後にします。

再び朝熊ヶ岳へ戻ってくると、達磨山臨時特小レピータでシズオカCA18さんとシズオカTK22さん(藤枝市移動)が交信中でした。交信が終わった後に、シズオカTK22さんと交信させていただきます。お互いにM5のレポート交換。

交信終了後、すぐさまカナガワOT207さん(鎌倉市移動)から声をかけていただきます。自分が朝熊山展望台へ移動している間に既にレピータへのアクセスを試みられておられていたようで、いきなりの交信成立にビックリです。こちらもお互いにM5のレポート交換。たった10mWの出力で、通常では狭い地域としか交信をすることができない特小なのに、達磨山臨時特小レピータを介し、朝熊ヶ岳〜達磨山の196km、達磨山〜鎌倉市の約70km、総延長260kmちょっとの距離を特小の電波が飛んでいきます。

伝播の可能性を予め調査し、アンテナや出力に頼ることなく、自分の足(車?)で高さを稼いで成立することができたこの交信に、(特小の中継機能を使っているとはいえ)アマチュア無線のハンディー+ホイップのQRP運用で遠距離の人と交信できたときの感動に近い感動です。アマチュア無線の場合は、交信相手がちゃんとしたアンテナやリグで運用をされている場合がありますが、特小の場合はお互い紛れも無く10mWの特小トランシーバー(とその中継器)。それを考えるとより感動が増し、声もつい上ずってしまいそうです。

カナガワOT207さんから1エリアも少しずつ運用する人が増え始めたということで、今日の1エリア側の盛り上がりを期待しつつ、どなたかがさらにレピータへのアクセスを試みて頂けることを期待しつつ(笑)、一旦交信を終えます。

相変わらず朝熊ヶ岳は強風が吹き荒れ、外で待機することができません。強風が吹き荒れる中、ICB-87Rを持って車外へ。市民ラジオではあいちK62さん(犬山市本宮山移動)、アイチDI209さん(知多市?高根山移動)、えひめCA34さん(津市青山高原移動)と交信。風が冷たく感じ再び車内へ。

13時をまわり、車のウィンドウにひっかけたRJ-410からイワテB73/2さんの声が聞こえてきます。伊勢湾ロールコールが始まり、次々と各地から呼ばれています。チェックインが落ち着いてきてから自分も車内からICB-87Rのアンテナを伸ばして呼びかけます。車のウィンドウをずっと半開きにしていたせいなのか、だんだん寒くなってきます。たまらず車のエアコンは暖房全開モードへ。ううう.... 寒い寒い。

zzz.....
zzz.....?
zzz.....!

気がつくと、いつの間にかうたた寝をしていたようです(汗)。金曜日の夜は達磨山からの可視範囲を見ながら夜更かしし、そのまま土曜日の日中は江ノ島、そして、土曜日の夜からムーンライトながらの移動。あまり睡眠をとっていなかったということと、無事に、2エリアで移動できて、ビックリ?移動も成功し、達磨山臨時特小レピータでも交信ができたという安堵があったのか、どうもうたた寝モードに入っていました。

そして、車の時計に目をやると.... 15:10。
もう一回見ても、15時過ぎています。
何度見ても、15時過ぎています(がーん)。

これまでの移動運用で、早く着いてまったりしていたらイベントが始まってたorロールコール開始時刻だった、というパターンはあったような気がしますが(汗)、「気がついたらイベントの時間が終わっていた」というのは初めてです。あまりに驚愕な展開に自分でも信じられません。慌てて市民ラジオや特小のチャンネルをまわしても何も入感せず。

若干寝ぼけぎみ&(ウィンドウ半開きで寝ていたために花粉を大量に吸い込んだため)くしゃみをしながら、慌てて朝熊山展望台へ。そして、えひめCA34さんへ電話します。えひめCA34さんは既に青山高原から撤収し、ちょうど下へ降りられたとのこと(涙)。強風で早めに撤収された方が多かったようです。

伊勢湾ロールコールワッチ中、各局の声が聞こえていたのに.... 交信できなかった皆さま本当にスミマセンでした。せっかくの2エリア一斉オンエアディにあわせたビックリ?移動は自分もビックリさせられ、やや不完全燃焼で終了となりました(とほほ)。

まとめへつづく。